生涯独身で楽しく生きていきたいと考えている人は、人生の最後で迷惑をかけることがないよう、終活もしっかりしておくことが大切です。終活には、葬儀やお墓、生前整理、遺産分割・遺言などのポイントがあります。そこで、それぞれのポイントについて解説します。
1.独身者が老後に関して心配すること
独身の方が老後のライフプランを検討するうえでは、主に4つの不安要素があげられます。
1つ目は、老後の生活費の確保です。公的年金だけで悠々自適な生活をすることは難しいという現実があります。そのため、積立や投資などで老後資金を確保する計画を立てておくことが大切です。
2つ目は、病気やケガなどへの備えです。老後になると体力や体の機能が衰えて病気やケガをしやすくなる傾向があります。経済的に困ることがないよう、医療保険に加入をして、いざというときの保障を確保しておくとよいでしょう。
3つ目は、介護に関することです。介護が必要になった場合でも、独身者は面倒を見てくれる親族がいない可能性があり、介護サービスを利用したり施設に入居したりして対処することになるのが一般的です。どんなサービスが利用できるか、施設の入居条件はどうかなどについて調べておく必要があります。
4つ目は、死亡時の対処です。自らの死に備えて準備を進めることを終活と呼びます。葬儀やお墓、財産の生前整理、相続などについて元気なうちに考えておくことが大切です。
これらのうち、特に4つ目の終活については、忘れがちですのでしっかり理解したうえで必要に応じて準備を進めておきましょう。
2.断捨離で生前整理
終活で考えるべき主なポイントは3つあります。
1つ目は、生前整理です。終活では、自分が亡くなったときにどのように見送られたいかを考えて準備します。
自分の財産は、死後に相続人などが受取ることになりますが、財産が整理されていない状態では相続人が財産の把握に苦労することになってしまいます。そうならないためにも、断捨離を行って不要なものを捨てて生前整理を行うことが大切です。断捨離は、生活の調和をもたらすことも目的に含まれるといわれていますので、生前整理の一環として断捨離を行うことで心が落ち着くという効果も期待できるでしょう。
終活をしていると死後の手続きばかりに気を取られて、これからの人生をどのように生きるかという観点を忘れてしまいがちです。終活には、これからどのように生きるかの方針を決める意味もあります。財産の生前整理を行うことによって、これからの人生に最低限何が必要になるのかを検討することになるでしょう。それが、将来の生き方を考えることにつながります。
それでも、生前に完璧に整理するのは難しいでしょう。そういった場合は、遺品整理サービスを提供している業者と生前に契約しておくことが有効です。残された人が楽になるだけでなく、自分自身の不安も解消できる点が魅力です。
3.お墓や葬儀はどうする?
終活の2つ目のポイントは、葬儀やお墓に関することです。
親類縁者などがいない場合などは、法律に基づき行政が手配を行うことになっています。ただし、こういったケースは葬儀を行わずに火葬して公営共同墓に納めるだけです。自らの最後はしっかり葬儀を行いたいと考える独身の方もいらっしゃるでしょう。自分が望む形で葬儀を行いたい場合は、生前から葬儀会社と相談して葬儀の準備を進めておけば実現可能です。
また、お墓についても悩んでしまう人もいるでしょう。悩みの1つは、どのお墓に入るかです。実家のお墓に入れるのか、不特定多数の人と一緒にお墓に入ることになるのかなど様々なパターンがあります。独身者の場合、実家の後を継いでも家系が途絶えてしまいますが、お寺で永代供養をお願いすることが可能です。さらに、親にも迷惑かけたくないという場合は、生前にお寺と契約をして個別の永代供養を依頼しておく手も有効です。
お墓や葬儀については、若いうちから考えるのは難しいかもしれません。しかし、差し迫ってからではお寺とじっくり相談できなかったり自らの気力と体力が続かなかったりする可能性があります。できるだけ早いうちから考えておいた方がよいでしょう。
4.遺言状の必要性
独身の人が相続に関する準備を行う場合は、遺言を書くようにしましょう。遺言は、個人が死亡後に関する意思表示をする法律行為です。
遺言書に記載できることはいくつかありますが、大切なポイントは遺産分割に関することです。独身者の場合は、相続人や遺贈を受ける人がいなければ財産は国のものになってしまう可能性があります。そのため、親族以外に自分の財産を渡したいと考えている場合は、遺言書を残しておくことが必要です。有効な遺言書を残せば、渡したいと考えている親族以外の人に遺贈できます。
また、両親や兄弟姉妹などの相続人がいる場合でも遺言書を残しておくことは有効です。被相続人が遺言書を残していない場合、被相続人に財産は相続人全員同意のうえで分割割合などを決めることになっています。しかし、話し合いの過程でもめてしまい親族同士の人間関係が冷えてしまうといった事態になることもあります。遺言書があれば、原則として遺言書に沿って遺産分割を行うことになりますので、もめるリスクを軽減できます。
遺言書を自筆する場合は、法律で定められたルールを守って作成しましょう。ルールを守らないと無効になってしまいます。心配だという人は、公証役場に行って公正証書遺言を作成するとよいでしょう。
5.終活をすることは楽しい独身生活にもつながる
終活というと、死を待つための手続きをイメージする人もいるかもしれませんが、本来の終活はまったく違う意味も持っています。
終活は、これからを前向きに生きていくために行うものです。
終活によって将来の不安要素に対処することで、積極的に生きていくことにつながります。葬儀やお墓、遺言など様々なポイントついて着実に準備を進めておくようにしましょう。進め方がわからない、葬儀代などお金に関わる部分を詳しく知りたいという場合は、FP(ファイナンシャルプランナー)に相談することをおすすめします。FPは、ライフプランニングのプロで、終活にも精通しています。