老後資金の用意は「個人年金や確定拠出年金(イデコ・iDeCo)」などの活用が有効!

老後資金の用意は個人年金や確定拠出年金(イデコ・iDeCo)などの活用が有効!

独身で老後を迎える場合、公的年金だけでは豊かな老後を過ごすことは難しいケースが多いです。個人年金保険確定拠出年金を活用して、老後の生活資金対策を行うことが大切になります。そこで、個人年金保険と確定拠出年金の仕組みや活用する場合の注意点などについてお伝えします。

 

1.公的年金からいくらもらえるか?

独身の方が生活していく場合、働いて収入が得られているうちは、ライフプランを検討するうえでも大きな問題は生じないでしょう。結婚資金や教育資金を用意する必要はありませんし、住宅に関しても資金状況に合わせて住宅を選ぶことが可能です。

そのため、独身者のライフプランを考えるうえでは、老後の資金計画を中心に検討することが重要になります。夫婦で老後を迎えた場合は2人分の公的年金が世帯収入となりますが、1人暮らしで老後を迎えた場合は自分が受給する公的年金が収入の柱となります。そのため、老後の資金設計を検討する場合は、まず公的年金の受給額を把握することが必要です。

公的年金には、保険料を一定期間以上支払えば職業などにかかわらず受給できる国民年金と、会社員や公務員が対象となる厚生年金の2種類があります。

自営業者などの場合は国民年金だけを受給することになりますが、会社員や公務員の場合は、両方受給可能です。国民年金は、満額でも年額80万円弱しか受給できません。厚生年金は現役世代の収入が多ければ多いほど年金が増える仕組みになっていますので人によって受給額は変わります。将来公的年金をいくら受給できるかについて知りたい場合は、年金定期便を確認しましょう。年金定期便は、毎年誕生月になると送られてくるもので、保険料の納付状況や将来の年金受給見込み額などを確認できます。

 

2.老後の資金不足を解決する方法

公的年金受給額が確認できたら、老後の生活費を想定してどの程度不足するかを算出する必要があります。食費や衣服費などの基本生活費に加え、固定資産税や家賃、場合によっては住宅ローン返済などの住宅関連支出も考慮する必要があります。支出額が公的年金受給額を上回る場合は、不足額を穴埋めする何らかの対策が必要になります。

老後の資金不足を解決する主な方法は3つあります。

1つ目は、できるだけ働いて収入を得る期間を長くする方法です。定年後であっても、会社が用意している再雇用制度を利用することで働き続けることはできます。そのためには、健康を維持することが大切です。

2つ目は、積立貯蓄や資産運用などで老後生活に入る前に十分な資金を貯めておく方法です。いきなり多額の資金を用意するのは大変ですが、時間をかけて積み立てたり、長期投資を行ったりすることでまとまった資金を用意することが可能になります。老後資金作りは早めに始めることがポイントです。

3つ目は、私的年金を活用して公的年金に対する上乗せ年金を自助努力で用意する方法です。私的年金と呼ばれるものにはさまざまなタイプがあります。自営業であれば国民年金基金などの制度がありますが、職業に限らず使えるものとしては個人年金保険や確定拠出年金があげられます。

 

3.個人年金保険とは?受給期間などはタイプによって違う

個人年金保険とは、民間の保険会社が提供している保険商品の1種で、一定期間保険料を支払ったあと契約で定めた年齢になると保険金として年金が受取れるものです。

個人年金は主に2つのタイプがあります。

1つが、年金額があらかじめ確定しているか予定利率に基づいて生じる運用益分だけ増加するタイプです。一定額以上の年金を受け取れることがあらかじめはっきりしているというメリットがあります。

もう1つは、運用成績によって年金の額が増減するタイプです。変額個人年金と呼ばれるタイプで、老後資金の準備だけでなく資産運用もできるという特徴があります。

公的年金では不足する可能性がある老後資金の確保を目的として個人年金に加入する場合は、どのくらいの期間にわたって年金を受け取ることができるかが重要です。

年金の受け取り方にはさまざまなタイプがあります。公的年金と同じように本人が死亡するまで受け取れるタイプは終身年金です。また、年金受取人の生死にかかわらず必ず一定期間必ず支払われるタイプを確定年金といいます。さらに、最大年金支払い期間が決まっている有期年金、そのうち一定期間は生死にかかわらず年金が支払われる保証期間付き有期年金などのタイプもあります。自分に適したタイプの個人年金を選んで加入することが大切です。

 

4.確定拠出年金とは?仕組みと注意点

確定拠出年金とは、拠出した掛金を加入者本人が運用し、運用がうまくいけば将来の年金が増加するという年金制度です。

確定拠出年金には、制度を採用している会社で働いている人が利用できる企業型と、それ以外の人が利用できる個人型の2種類があります。このうち、個人型については、法改正による利用者拡大のタイミングに合わせてイデコ(iDeCo)という愛称が付けられました。

企業型や個人型、また加入者の職業などによって拠出限度額掛金は異なります。自営業が利用できるタイプは個人型です。会社員の場合は、掛金は会社が拠出してくれますが、規約によっては本人も合わせて拠出することもできます。老後の年金をできるだけ増やしたい場合は、自らも掛金を拠出することを検討してみましょう。

確定拠出年金は自己責任型の年金と呼ばれることもあります。その理由は、運用リスクを加入者本人が負う仕組みになっているからです。公的年金や一定の個人年金保険は年金額が保証されていますので、運用に関するリスクを年金受給予定者本人が負うことはありません。一方、確定拠出年金は、運用がうまくいけば年金は増加しますが、運用に失敗して損失を被るとその分将来の年金が減ってしまうリスクがあります。公的年金と確定拠出年金とでは運用リスク負担の仕組みが大きく異なることを理解しておきましょう。また、原則として最短でも60歳までは掛金を引き出すことができないことも注意点です。

 

5.個人年金保険・確定拠出年金と税金

個人年金保険や確定拠出年金を活用する場合は、それぞれの課税方法や税負担などについても知っておく必要があります。

まず、個人年金保険についてです。税制適格特約付きなど一定の条件を満たす個人年保険の保険料は、所得控除の1つである個人年金保険料控除の適用を受けて税負担を減らすことができます。

老後に受給する年金は、雑所得に区分され、所得が多ければ多いほど税率が高くなる超過累進税率が適用される総合課税です。ただし、年金額がそのまま所得になるわけではなく、支払った保険料相当額を差し引いた残額が雑所得になります。

続いて、確定拠出年金の税金です。加入者本人の拠出額は、所得控除の1つである小規模企業共済等掛金控除の対象になります。拠出できる限度額と所得控除限度額は同額ですので、基本的には掛金全額が所得控除の対象です。老後になって受給する年金は雑所得に区分されます。ただし、同じ雑所得でも個人年金とは違い「公的年金等の雑所得」です。公的年金と合算したうえで公的年金等控除額を控除して雑所得を計算します。

 

6.老後の資金計画で悩んだらFPに相談しよう

1人で老後を暮らしていくうえで資金の不安がある場合は、公的年金だけでなく個人年金保険や確定拠出年金の利用を検討してみましょう。公的年金の上乗せ分を自分で用意することが可能です。また、現役時代に支払う保険料や掛金は、所得控除の対象となり節税にもつながります。

個人年金保険や確定拠出年金についてさらに詳しく知りたいという場合は、FP(ファイナンシャルプランナー)に相談してみることをおすすめします。FPは各種年金制度に詳しいだけでなく、老後の資金計画やライププラン策定のプロです。幅広い範囲の相談に乗ってくれることが期待できます。