1.尊厳死とは
「尊厳死」をご存知でしょうか。
自身の最期を、無理な延命治療などせずに自然に時間の経過とともに死を迎えるという考え方です。
2.安楽死との違い
安楽死とは、自身の健康状態に関係なく死期を自分で決め、医師の手によって死に至らしめることを言います。故意に死に至らしめることになるため、日本では認められていません。
それに対し、尊厳死は延命治療こそ施しませんが、緩和ケアを行うなどしてなるべく痛みや苦しみのない最期を迎える方針をとります。
日本では安楽死は法律上の殺人行為にあたるため認められていませんが、尊厳死についても厳密には法律上認められたものではありません。しかし、医師と当人または家族が治療方針を決めるときに、必要な医療行為を施した上で尊厳死を選択することを容認する傾向にあります。
3.尊厳死宣言書とは
尊厳死宣言書はリビング・ウィルともいわれています。
尊厳死について法的に認められていない以上、遺言書のように自筆で作成し保管していただけでは真偽について医療関係者は判断ができません。
そのため、本人の意思に基づいた書面であることを証明できるものである必要があります。
尊厳死宣言書を残すためには2通りの方法があります。
1つ目は、公正証書として残す方法です(尊厳死宣言公正証書)。
公証役場で公証人の前で自らの意思を宣言することで公正証書として作成してもらいます。正式な書面であることを証明してもらえますし、見聞きや自筆が困難な場合でも代筆等サポートしてもらえます。
2つ目は、日本尊厳死協会へ入会し、尊厳死宣言書を保管してもらう方法です。
公益財団法人日本尊厳死協会
4.まとめ
尊厳死宣言はすべての延命治療を拒否するものではなく、ここまではしてほしい、この延命措置はとらないでほしいなど、細かく宣言することも可能です。
作成した書類があっても、いざその時に尊厳死宣言書の存在を気づいてもらえないことが無いように、身近な人にあらかじめ書類の存在を伝えておきましょう。