その人の置かれている状況によって加入すべき最適な保険は変わってきます。保険には、さまざまな種類がありますので、いざ加入を検討するとなると迷ってしまうでしょう。ここでは、独身の人が入っておきたい保険についてお伝えします。
1.医療保険を充実させよう
独身者は、病気やケガになると大変です。そのため、普段からの健康管理は欠かせません。しかし、誰でも病気になったり、ケガをしたりするリスクはありますので、しっかり備えておくことが大切です。特に、経済的に困ることがないようにすることがポイントになります。
病気やケガになると医療費がかかります。長期入院といった事態になると多額の支出が生じることも珍しくありません。独身の方は、医療保険に加入して病気やけがの支出に備えることが重要です。
医療保険とは、死亡保障を抑えて入院や通院の保障を充実させた保険のことです。保険料は掛け捨てになりますが、死亡保障が少ない分、安い保険料で充実した医療保障を確保できるメリットがあります。
加入する場合は、3つのポイントに注目して保険を選びましょう。
1つ目は、入院保障の上限です。1回の入院の上限と、累計の上限が設定されています。保障日数が多ければ保険料も高くなりますので、自分に必要な日数が確保できる保険を選ぶことがポイントです。
2つ目は、入院何日目から入院給付金を受けられるかです。入院初日から給付があるタイプを選べば安心でしょう。
3つ目は、ガン保険への加入を検討することです。ガンになった場合の保障が手厚く、ほかの病気に関する保障を抑えているため保険料は安くなります。入院給付金支払日数の上限がないことも特徴です。
2.働けないときに備えた所得補償保険も必要
独身者の抱えているリスクとしては、働けなくなった場合に収入がゼロになってしまうというリスクもあげられます。入院費用などは医療保険でカバーできたとしても、収入の減少までは医療保険でカバーできません。
そういった事態に備えるためには、所得補償保険への加入が適しています。所得補償保険とは、病気などで働くことができずに収入がなくなった場合に、定額の保険金が給付される保険です。保険会社によって名称は多少違っており、就業不能保険と呼ばれることもあります。
会社員の場合は、病気やケガで働けなくなった場合、有給休暇を消化するのが一般的です。有給休暇を使い切ると欠勤となり、給料は支給されなくなります。その場合でも、健康保険から傷病手当金を受け取ることが可能です。
傷病手当金は、連続して3日以上休んだ場合に4日目から給料1日分の3分の2が支給されます。傷病手当金で、ある程度の収入源はカバーできますが、それでも不足する分については、所得補償保険に加入して補うとよいでしょう。どのぐらいの期間にわたって給付を受けられるかは、保険契約によって違ってきます。保険料とのバランスを考えながら、必要な金額と期間を検討したうえで加入しましょう。
3.死亡保障は抑え目で
保険にはさまざまな種類がありますが、死亡時に死亡保険金を受け取ることができる死亡保険もよく知られた存在です。死亡保障を得るために死亡保険への加入を検討している人も多いでしょう。ただし、独身の方の場合は、多額の死亡保障は必要ないケースが多いですので注意が必要です。
死亡保険金は、被保険者が死亡したあとに支払われます。そのため、残された遺族の生活保障を考慮して加入するケースが多いといわれています。しかし、独身の方の場合は、生活を保障すべき残された家族がいないケースがほとんどでしょう。多額の死亡保障が得られる死亡保険に加入すると、保険料も割高になります。
死後の整理費用としては、200~300万円程度あれば十分だといわれています。葬式代や家財などの整理費用を想定して、その金額をカバーできる程度の終身保険などにするとよいでしょう。
また、死亡保険にはすでに加入しているという場合は、死亡保険金が多すぎないか再検討する必要があります。契約後でも死亡保険金を減額することはできますので、多すぎる場合は減額しましょう。ムダな保障をカットできれば、保険料の負担を抑えることにもつながります。保険料が減った分を、医療保険や所得補償保険加入に必要な保険料に回すことが可能です。
4.老後資金の確保に保険を活用する
独身の人のなかには、老後の生活資金について不安を持っているという人もいるでしょう。
老後になると、収入の柱は公的年金になります。自営業などの場合に受け取れる老後の年金は、保険料をしっかり支払って満額の受給ができたとしても年間80万円弱しか受け取れません。会社員の場合は、厚生年金からの給付も受けられますが、2つ合わせても悠々自適で生活できるというケースはほとんどないといわれています。そのため、老後資金の確保は重要な課題です。
老後資金の確保にはさまざまな方法が考えられますが、保険を利用して老後資金を確保するという方法も有効です。
保険による資金確保の方法も多種多様ですが、現役世代の間に保険料を支払うことによって、老後に年金が受取れる個人年金保険に加入するという方法が有効でしょう。銀行などで積み立てをしても利息はほとんどつかない状況が続いています。しかし、個人年金保険であれば、預金の利率よりも予定利回りが高くなる可能性があります。
また、支払った一定の保険料は、個人年金保険料控除の対象になり、節税にもつながるメリットもあります。
個人年金保険に加入する場合は、毎月の保険料負担が生活を圧迫することがない程度に抑えることがポイントです。
5.定期的に見直すことが大切
保険に加入するタイミングでは、さまざまなリスクを検討して必要な保障額と保険料負担のバランスを考えながら保険を選ぶことになります。
しかし、加入したあとは、保険のことは忘れてしまいがちです。保険は、加入後の見直しも重要になります。仕事が変わったり、健康状態が変わったりすることもありえます。加齢が進めば、介護保険への加入も検討する必要があるかもしれません。自分が置かれている状態が変化したら、それに合わせて保険も見直すことを忘れないようにしましょう。
また、税制が変わることによって最適な節税方法も変わる可能性があります。過去にも、医療保険の普及によって生命保険料控除の上限額が引き上げられたことがありました。保障内容とともに、生活費に占める保険料の割合や節税方法などについても定期的に点検することが大切です。
見直しを行うためには、加入した保険の保障内容を理解しておくことが必要です。保障内容などについては保険証券や契約者のしおりなどに記載されています。また、1年に1回程度、保険会社から保障内容の確認や解約した場合に返金される解約返戻金、配当金の状況などをまとめた書類が送られてきているはずです。そういった資料をしっかり読んで、1年に1度ぐらいは保険の見直しが必要かどうかを検討するように心がけましょう。
6.自分に合った保険に加入しよう
独身者にとって、保険はいざというときの経済的な支えとなります。ときには、頼れる人が身近にいないことについて不安を感じることもあるでしょう。
しかし、保険は心強い味方になってくれます。自分に合った保険に加入することで安心して生活することができるようになるでしょう。いざというときの備えができていれば、思い切って充実した日々を過ごせることにもつながります。
独身の方は、日々の生活において誰にも拘束されずに自由に過ごせる点がメリットです。独身だからこそできること、持てる夢もあります。保険を賢く活用して味方につけながら充実した独身生活を送りましょう。