「介護離職は避けたい!」突然やってくる介護のために知っておくべきこと

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1.介護離職という最悪のシナリオ

「介護」は突然やってくることがあります。

たとえば、家族が脳血管疾患やけがなどで動けなくなり、寝たきりになってしまうケースです。

持病の悪化や認知症などで介護をあらかじめ覚悟できていればよいのですが、突然介護する立場になると何をしたらよいのか慌ててしまうことが多いのです。

現在の仕事を続けながら介護を両立していければよいのですが、年間で約9万人が介護や看護を理由に離職しているという厚生労働省の調査結果もあります。

離職してしまうと、収入が途絶えるだけでなく、将来自分が受け取るべき公的年金の受給額も減るという未来への不安が押し寄せてきます。また、「介護うつ」など自分の体への負担も大きくなります。

もし介護しやすい職場に転職したとしても、前職よりも収入が減少したり、非正規雇用となったりと、自分の将来に大きな影響が出る可能性があります。

自分が独り身である場合、世帯を持っている兄弟姉妹から介護を押し付けられるケースもあり、ひとりで介護のすべてを抱えてしまうことになりかねません。

ではどうすれば介護による自身の将来への影響を最小限に抑えることができるのでしょうか。

 

2.介護を支える制度を知り、活用すること

介護離職を避けるためには、介護を支える様々な制度を知り事前に準備しておくこと、そしてその制度を活用することが重要です。

2-1.公的介護保険

介護に関する制度でまず思いつくのが公的介護保険制度です。

介護保険は仕事と介護を両立させるのに重要な役割がありますが、利用できるまでにいくつか所定の手続きが必要になります。

介護サービスの利用の手続き 「厚生労働省HP介護保険制度の概要1.介護保険とは」より抜粋 http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12300000-Roukenkyoku/201602kaigohokenntoha_2.pdf

①市区町村の介護保険の窓口に介護認定の申請

②訪問による認定調査

③専門家による介護認定調査

④認定結果通知

と、このように大まかに4つのプロセスがあり、受給できるようになるまで約1ヶ月程度かかります。

家族に介護が必要になったら、まず介護認定の申請をするようにしましょう。

公的介護保険は現物給付による介護サービスで、訪問介護や福祉用具貸与、特別養護老人ホーム入所などが原則1割の自己負担で受けられますが、要介護認定(要支援1〜要介護5)の7段階によって受けられるサービスが異なります。窓口で事前に確認しておきましょう。

介護サービスの種類 「厚生労働省HP介護保険制度の概要1.介護保険とは」より抜粋 http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12300000-Roukenkyoku/201602kaigohokenntoha_2.pdf

2-2.育児・介護休業法

育児・介護休業法とは、労働者の仕事と育児や介護を両立できるように支援するための法律です。

介護休業については、通算93日を限度として3回まで分割して取得することができます。

そのほか、

介護休暇・・・年5回まで、半日単位で取得可能

介護休業給付金・・・雇用保険の被保険者が介護休業を取得した場合、介護休業開始時賃金月額の67%が最長ヶ月間支給

所定外労働の制限・・・介護終了まで、1回につき1月以上1年以内の期間で免除請求が可能

時間外労働の制限・・・1ヶ月で24時間、1年で150時間を超える時間外労働が免除される

深夜業の免除転勤に対する配慮所定労働時間の短縮不利益取り扱いの禁止

などがあります。

しかし、介護休業は何年にも及ぶ場合が多く、通算93日間では少なすぎるといえます。介護保険の申請や施設探しなど、態勢づくりのために休業すると捉えたほうがよいでしょう。

他にも、在宅勤務などに切り替えられる企業であれば検討してみるのもよいでしょう。企業によっては介護に関して支援策を講じているところもありますので、一度確認してみましょう。

 

3.介護への備え

ここまで取り上げた情報についての相談などは地域包括支援センターが窓口になっています。中学校区に1カ所程度を目安に設置されていますので、最寄りを事前に調べておくとよいでしょう。市区町村の窓口に比べ、より総合的な相談、支援を受けられます。

介護する立場になることは予測がつかないことがほとんどです。

前述で取り上げた情報を常に頭の片隅に置いておき、いざその時が来ても慌てることなく対処していただきたいと思います。