「独身世帯の老後資金」として必要な貯金額はいくら?

独身世帯の老後資金として必要な貯金額

老後の資金が不足しないように準備することは大切です。人によって置かれている環境は違いますので、それぞれに合った老後の資金計画を立てることが重要です。

そこで、独身の方の老後の資金計画や必要な貯蓄額などについてお伝えします。

 

1.一般的な老後資金の計算方法

老後に必要となる資金を計算するためには、収入と支出を把握する必要があります。

老後になると働いて勤労収入を得ることが難しくなり、公的年金が収入の柱になるケースが多いです。老後の収入を予測するためには、公的年金をいくら受給できるかについて把握することがポイントになります。

公的年金の種類は、全国民共通の国民年金と、会社員など限られた人に支給される厚生年金の2種類です。人によっては、公的年金に加えて企業年金を受給できる場合もあります。これらを合計した金額が年金収入です。

収入が把握できたら支出も予測します。食費や光熱費、衣服費などの基本生活費だけでなく、住居に関する支出も見込む必要があるでしょう。持ち家の場合は、住宅ローンの返済や管理費、固定資産税などが含まれ、賃貸住宅暮らしの場合は、家賃支払いや契約更新料などが発生します。

収入と支出が把握できたら、老後何歳まで生きるかを想定して収入と支出の差額を計算します。男性と女性で平均寿命は違いますが、一般的には90歳まで生きたときにどうなるかをまず想定するのが一般的です。収入より支出が多い場合は、老後に入る前に不足金額分の貯金をしておかないといけないということになります。

 

2.独身世帯の年金収入

独身世帯の老後の資金計画や目標貯蓄額を検討するにあたっては、収入の柱となる公的年金収入を予測する必要があります。

国民年金は職業などによる受給額の違いはなく、満額は約80万円とされています。しかし、保険料の支払い状況によっては満額受給できず、支払い状況に応じて減額される仕組みです。厚生労働省「厚生年金保険・国民年金事業概況」によると、独身世帯の国民年金平均受給額は月あたり約5万4000円とされています。ずっと自営業だった人の場合は、年金収入は国民年金だけということになります。会社員などの場合に支給される厚生年金については、月あたり男性は約12万6000円、女性だと5万4000円です。

国民年金と厚生年金の合計金額は、男性18万円、女性10万8000円となります。年金の受給開始年齢は、原則として65歳からです。仮に65歳から受給して90歳で死亡した場合は、年金受給累計額は、男性約5400万円、女性約3240万円となります。女性の場合は、勤続年数が短い人も統計には数多く含まれていますので、一定の給与水準で定年まで働く独身のケースを想定すると男性の金額に近づくでしょう。

企業年金を受給できる場合は、さらに金額が上乗せされますので有利です。ただし、すべての会社で企業年金制度が導入されているわけではありません。

 

3.独身世帯として必要となる老後の支出

収入の次は支出の把握です。総務省の家計調査のデータを活用すると平均的な年齢別・世帯別の支出を把握することができます。家計調査によると、独身世帯の老後の支出は、持ち家の場合、月当たり約15万4500円です。仮に90歳まで生きるとすると、約5562万円の資金が必要になります。

また、家計調査によると住宅関連支出は月あたり約1万3000円です。住宅ローンを完済した持ち家であればその程度の金額でも維持できるでしょう。

しかし、賃貸住宅に住んでいるとすると家賃負担などによって住居関連支出は統計値よりも増えることになります。賃貸住宅暮らしの場合は、月あたり19万円程度の老後支出になるでしょう。90歳まで生きた場合は、累計で約6840万円の資金が必要という計算になります。

また、家計調査では、介護に関する支出はほとんど考慮されておらず、自宅で健康に暮らしている人の現状に関する統計データです。加齢が進むと介護が必要になってくる場合もあります。独身世帯であれば、介護老人ホームなどに入居することになるでしょう。そういった施設に入居すると、一般的には毎月35万円、入居一時金300万円程度かかるといわれています。仮に90歳から5年間入居すると仮定すると、介護支出分として約2400万円を老後支出として加算することが必要です。

 

4.目標貯金額はいくら?

老後の収入と支出の差額を計算することによって、老後生活が始まる段階でいくら貯金があればよいのかを知ることができます。支出の方が多い場合は、毎年赤字が発生して貯金を取り崩して生活することになります。不足分を借金してまかなうことは現実的とはいえないでしょう。やはり、不足する分は貯蓄でカバーする必要があります。

年金収入は、女性の方が結婚などにより退職する時期が早くなる傾向があるため男性と女性で統計値に差がありました。しかし、独身女性が定年まで働くという前提で考えると男性の平均値を使って試算したほうが現実的だといえるでしょう。その前提で計算すると、持ち家の場合、年金収入は5400万円、支出は介護以外で5562万円、介護関連で2400万円でしたので2562万円不足です。賃貸住宅暮らしの場合は介護以外の支出が6840万円になり、3840万円不足となります。

老後資金検討のポイントは2つです。

1つ目は持ち家か賃貸かです。老後の家賃負担の有無という観点からは、現役世代の間に持ち家を確保しておくことは有効でしょう。

2つ目は貯蓄の方法です。持ち家の場合は計算上2562万円の貯蓄が必要になります。金融機関の積み立て預金や証券会社などの積み立てNISAなどを利用して、長期的に積み立てながら増やすとよいでしょう。

 

5.収入を増やす方法も検討する

公的年金ではカバーできない不足額は積立などを利用して貯めることになりますが、思った通りの金額を年金受給前までに貯めるのは大変です。そこで、別のアプローチを考えてみることも必要になるでしょう。

例えば、定年で現役を引退するのではなく、定年後も可能な限り働くというアプローチがあります。企業は、定年後も働きたい人のために再雇用の制度を整えています。給料は下がるのが一般的ですが、現役生活が長くなり、家計調査の結果である生活費月15万4000円をカバーする程度の収入は確保できる可能性があります。

仮に、60~65歳まで生活費と同額程度の月当たり15万4000円の収入を得て働くとすると、累計収入は927万円となり、必要な貯蓄額は2562万円から減って1635万円で足ります。定年後も働くためには、健康であることが大切です。老後の資金計画とともに健康維持増進の計画も立てておきましょう。

また、リバースモーゲージの活用という方法もあります。リバースモーゲージとは、自宅を担保にした借り入れです。独身であれば持ち家を親族に相続させるなどの必要性は低いでしょう。そういった場合は、自宅を担保にして毎月資金を借りていき、死亡時に担保の自宅で返済するというリバースモーゲージを利用するという選択肢もあります。毎月受け取る資金を生活費に充てることが可能です。

 

6.老後を見据えた資金計画を立てておこう

老後のことを考えると不安だと感じている独身もいるでしょう。考えているだけでは不安だけが残ってしまいます。

そこで老後の資金計画を立てることによって、具体的にどのような状況になるのかを予測できるようになり、どんな準備をしておくべきかどうかも明確になります。

ただ、資金計画の作り方がよくわからない、収入や支出の予測方法がわからないという人もいるでしょう。そういった場合は、FP(ファイナンシャルプランナー)に相談することをおすすめします。FPは個人をサポートするお金の専門家です。老後の資金計画の作成をお願いすることもできます。老後資金や貯蓄額について相談したい場合は老後資金計画の経験が豊富なFPに相談するとよいでしょう。